自転車競技連盟総監督解任決議問題、連盟の混乱極まる

       ~「解任理由不明の“解任決議”」の責任は誰が負うのか~

日本自転車競技連盟が、理事会でナショナルチーム松本整総監督の解任決議を行い、松本氏側が、解任権不存在確認の仮処分命令を申し立てている件(当ブログ6月7日付け【東京五輪に向けての選手強化を阻む競技団体の“競技団体のガバナンス崩壊”】参照)で、6月11日、東京地裁で、当事者の主張を聞く審尋の手続きが行われた。

契約を無視した解任決議に対して、松本氏側が、ただちに仮処分申立てを含む法的措置を講じてくることを予想していなかったのか、連盟側の対応は混乱を極めている。

審尋の直前1時間前に答弁書を提出し、その書面提出をもって、総監督の解任の通知だとしているが、解任の「理由」は書面には全く示されておらず、審尋の場においても、解任理由については、「今後明らかにする」と述べただけだ。

連盟が、契約書に2017年3月までの契約期間内は解任できないと明記されているのを無視して松本氏の解任決議を行ってから6日も経っているのに、解任の理由を全く示せないというのは、どういうことなのだろうか。理事会で総監督解任を決議したのであれば、解任議案に関して、その理由が示された上で審議され、解任議案が可決されたということでなければおかしい。理由すら明確にしないまま総監督解任を決議したとすると、それは、もはや「理事会決議」とは言い難い。

答弁書や審尋での発言からすると、連盟側は、「総監督との契約は委任契約だから解除は可能で、不当な解除だというのであれば損害賠償の問題になるだけだ」と考えているようだ。しかし、そもそも、補助金等の税金も投入されている公益財団法人の自転車競技連盟が、不当解任によって損害賠償を支払うことを承知の上で契約を解除するというようなことが許されるのだろうか。その場合の損害賠償というのは、一体誰が負担するのであろうか。

これまでの連盟側の対応を見る限り、もはや「組織の体をなしていない」と言わざるを得ない。このような混乱の中で、不当な解任決議など一連の対応に関して、連盟内部でも様々な問題が噴出する可能性がある。最終的には、橋本会長、今回の解任決議を主導した副会長、それに付和雷同した理事などの個人の責任が問題にならざるを得ないであろう。

一方の松本氏は、今回、不当な解任決議が連盟側からリークされ、報道されたことなどによって、重大な名誉棄損の被害を受けている。このような連盟側の暴挙に対して徹底的に戦っていく姿勢である。

それに関して、松本氏は、昨日付けで、自身のホームページ「鉄人疾走松本整オフィシャルサイト」に【日本自転車競技連盟に関する一部報道について】としてコメントを公表し、その中で、「契約を盾にとって総監督の地位にしがみつく気持ちは毛頭ありません。今回の自転車競技連盟側が、契約を無視した違法なやり方を強行してきたことに対して、それに屈することは、自転車競技の世界のみならず、広くスポーツの世界に重大な悪影響を生じさせると考え、あらゆる法的措置を講じて、連盟と戦っているものです」と述べている。

松本氏は、今後、損害賠償請求等の措置をとっていくことで、仮に、賠償金が得られたとしても、それによって個人の利益を得る意思は全くなく、全額をスポーツ振興のために寄附する意向である。

松本氏にとって、今回の行動は、自身の個人的問題としてというより、自転車競技連盟を正常化し、法や契約を守る健全な組織運営を実現するための戦いなのである。

 

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弁護士
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