「検察のあり方検討会議」メンバー就任

【第105回定例記者レク概要より抜粋】

「検察のあり方検討会議」という法務大臣の諮問機関が設置されるという方針が示されていたわけですが、今日、ちょうど今ごろ、法務大臣の会見でメンバーが正式に公表されているようです。私もその会議のメンバーに入ることになりました。

まず最初に、この検討会議の委員に選任されるに至った経緯、私なりの認識についてお話をしたいと思います。10月23日、ちょうどテレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演した後の昼に、柳田法務大臣からご連絡があって、お会いしました。大臣はたまたま「朝生」を見ておられたようで、それまで法務省のまわりの人からどう言われていたか、よくわからないんですが、この「朝生」を見て、そんなおかしな人間でもないんじゃないかと思われたようで、私の話をお聞きになりたいということでしたので、私がこれまで著書などで述べてきた検察に対する見方、検察の改革論、検察の現在の組織の問題点などについて意見を申し上げました。

そのときに、柳田大臣の言われることを聞いて、まさに検察への国民の信頼が地に落ちている状況の下で、法務大臣として、抜本的な検察改革を行なって、検察への信頼を取り戻そうという強い意思をお持ちであるということを率直に感じたわけです。千葉前大臣を座長に選任したことについても、いろいろ批判があったわけですが、私は柳田大臣が言われた、「検察に対して厳しい考え方を持っておられる方で、なおかつ本検察の内部についてもよくおわかりだから、座長になってもらうことにした」という言葉が――そうやって、私をわざわざお呼びになって、話を聞かれるということからして、これは本気だなと、本心で言われていることだなと思った次第です。もちろん、そのときにはまだ正式にこの検討委員会の委員にというような話があったわけではありませんが、そういったことも含めて、検察改革に協力してほしいということを言われましたので、私としても全力で、可能なかぎりご協力をするということを申し上げたわけです。

ということもあって、それ以降、この検討会議のメンバーに選ばれるかもしれないなということは、可能性としては十分に認識していたわけですが、一方で私がこれまで、この検察問題に対して、その本質的、構造的な問題も含めてかなり厳しい批判してきましたので、私がメンバーに入ることに対しては相当反発、抵抗が強いのではないかとも思っていまして、どうなるかわからないなと思っていたのですが、先週末ぐらい、法務省の方から、正式にメンバーにという話がありました。こうなった以上、私もこの会議を通してできる限りの貢献をしたいと考えています。

私がどういう趣旨でこの検討会議のメンバーに選ばれたのか。
選ばれた側でお考えになったことですが、私は柳田大臣にも私自身のこの数年間ずっと専門にしてきた組織のコンプライアンスという観点から、この検察の組織を本当に抜本的に見直さないといけない、検察の業務のあり方をあらゆる面から見直さないといけないということを申し上げました。

そういう意味で、私が今回この会議のメンバーに入るということになったのは、まさに組織のコンプライアンスを専門にする者として、そういう立場で貢献をしてほしいという趣旨ではないかと考えています。もちろん、私自身、検察で23年間仕事をしてきた人間ですし、そういった経験にもとづいて考えたこともいろいろあります。むしろ、そういう経験もベースにしながら、私なりの組織のコンプライアンス……私が言っているコンプライアンスというのは法令遵守ではなくて「社会の要請に応えること」です。検察が本当の意味で、今失いかけている信頼を取り戻して、社会の信頼に応えられる組織になるようにするために、私のコンプライアンス論を少しでもお役に立てるようにできればと思っています。

コンプライアンスの問題は企業に関する問題が中心ですけれども、私は官公庁のコンプライアンス問題にも関わってきました。原口大臣の時代に総務省の顧問に就任して、片山大臣になって以降も顧問を引き続き務めさせていただいています。その顧問としての1つの重要な仕事はコンプライアンス室長という仕事で、総務省の業務に関して、総務省内外からいろいろな情報を提供を受けて、組織として社会の要請に応えるという観点からのコンプライアンスについての検討を行なうという立場にあります。そういった官公庁としてのコンプライアンスのあり方という面からも、この検察の問題を改めて考えていきたいと思っています。

この検察の組織としてのコンプライアンスという問題について、最近いろいろな場での講演の冒頭で、概ね、次のような話をしています。

これまで、検察の組織いうのは、あんまりコンプライアンスという観点で考えられることがなかったのではないか。なぜかというと、検察の組織というのは、丸ごと正義の塊であって、その検察に対してコンプライアンスがどうのこうのというようなことを言う余地はないというような考え方だったんじゃないかと思います。しかし、検察といえども、人間が集まってできている組織であることに違いはないわけで、その集まっている人間の中にはやはり問題のある行為をしでかす人間というのは、必ず出てくる。それが組織の常です。そういう問題が生じるのをどうやって防止するのか、問題が生じた時にどう対応するのか、ということを考えるのが組織のコンプイライアンスです。本当はこの検察についても、もっと早くからコンプライアンスという観点でものを考えなければいけなかったんだと思います。ところが、そういう検察に対する固定観念もあって、今までそういう考え方は行なわれてこなかった。

90年代以降、多くの企業、官庁が3つのことを強く求められるようになりました。1つがその組織のガバナンス、2番目にその組織の活動についての情報開示義務、3番目にその組織の活動に関する説明責任です。民間企業、官公庁を問わず、そういった3つのことによって、組織の活動を適正化していこうという動きがこの社会全体に広まっているなかで、1つの行政組織でありながら、検察にはこの3つがまったく求められてこなかった。

まず、ガバナンスについては、ガバナンスというのは主権者とか、株主とか、そういうもともとの権利者の意思を無視するかたちで経営者など、その組織のトップが暴走することがないようにするためのガバナンス。これについては、検察については何がガバナンスの根拠なのかがはっきりしない。結局、正義という言葉でガバナンスが終わってしまうわけです。

そして2番目、情報開示義務に関して言えば、検察の業務というのは捜査の秘密とか、刑事記録の非開示とかいうことで、ほとんど情報は開示されない。開示しなくてもいいことになっている。

そして、説明責任に関して言えば、これは西松事件のときなどにいろいろ問題になりましたが、基本的に検察はその処分の理由、あるいは捜査の理由、起訴の理由などについて、社会に対して説明責任を果さなくてもいい。裁判所に対して立証責任を負っているだけだ、ということですましてきたわけです。

そういう組織において必要な3つの義務が果されないまま来てしまったことが、今回の検察をめぐってさまざまな問題が発生している1つの背景になっているのではないかという気がします。そのような観点も含めて、今後、検討会議の場でもコンプイラアンスの観点からいろいろ意見を言っていきたいと思っています。

この検討会議でどういう事項が検討の対象とされるのか。これは検討会議で議論すべきだと思いますし、大臣や座長のお考えもあると思いますが、柳田大臣から私がお会いしたときにお聞きしたのは、やはりここまで検察に対する信頼が地に落ちているわけだから、今検討できること、検討すべきことは、あらゆることを検討すべきではないかというようなお考えを伺いましたし、私もその通りだと思います。大阪地検の不祥事、それに関連することに限らず、今、検察に関して問題となっていること、あらゆることを検討し、この際、本当に改めるべきものは徹底的に改めなければならないのではないかと思います。

今回のメンバーの中で、概ね、メンバーの大半が従来から予想されたような、法曹界の方々、それに関連する経験をお持ちの方々が多い中で、ちょっと私が意外に思ったメンバーが高橋俊介さんという、組織・人事制度、キャリア制度などの専門家が入っておられることです。どういう経緯で選任されたかわかりませんが、こういう方がメンバーに入っているというのは、おそらく検察という組織の人事のあり方、キャリア制度のあり方、組織のあり方というようなところも検討の対象にしようという考え方なのではないかと思います。それは私自身の経験に照らしても非常に重要なことだと考えています。

それから、検察権の行使の適正化ということが当然必要になるわけです。今回の大阪地検の問題に関しても、まさに検察権の行使そのものです。そういう面で、例えば検察庁法上の法務大臣の権限行使、これをいかに適正に行えるべきなのかということ。これは尖閣の中国人船長の釈放問題などに関しても、いろいろ問題になっていますが、私はこれも広い意味での検察のあり方を、本当にこれから国の機関として適正化していく上で考えなければいけない重要な問題ではないかと思っています。

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弁護士
カテゴリー: コンプライアンス問題, 記者レク, 検察問題 パーマリンク

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